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雑記です

【読了】『高野聖/眉かくしの霊』

こんにちは。御室戸斎部のsyamu好きです。この度は泉鏡花の『高野聖/眉かくしの霊』(岩波文庫)を読み終えたので感想を投下します。

高野聖 あらすじ

旅中に出会った僧がこれまでの旅で体験した怪異的な出来事についてを主観的に語る。語りの中の場面は天生峠、現在の岐阜あたりである。蛭山をかきわけかきわけ行く僧がついにたどり着いたのは妖艶な女亭主の住まう山里の一軒家だった......。

高野聖 感想

泉鏡花の怪談的世界観が存分に表されているように思う。あと出てくる女亭主がエロい。蓋し怪談は、そのキモはもちろん化け物の恐ろしさであるがその化け物が出てくる空気感、雰囲気というか背景こそが怪談を成り立たせる上で必要不可欠である。冷ややかな山気、岩のはった渓流、夜半などはこの怪談世界を完成させている。(例えばめっちゃ人がいる真昼間の渋谷のハチ公前にいきなり幽霊が現れてもあんまり怖くないよね、そういうことです)。まあ置いといて、この話は怪談の妙を会得しているといっても過言ではない

眉かくしの霊 あらすじ

主人公は旅行にて東海道中膝栗毛を想起させるような木曽の旅館に泊まる。雪も少々降る季節。水回りの疑問こそあれ、池には綺麗な鯉もいて望んだ料理も出て別段大した不満も無くことは過ぎてゆく。と、風呂が沸いたようである。風呂場に行くと綺麗な婦人の姿が一人。それからも度々霊のようなものを目にする。その晩、宿の料理番との会話にてかつてこの地で起こった出来事が明かされる。

眉かくしの霊 感想

ラストが素晴らしかった。鳥肌が立った。物語の始まりより着々と高めてきた緊張感を見事にクライマックスに繋げてきたなという感じ。読んでいてビリビリきた。また前述せる如くの怪談的世界観の完成はいうまでもない。泉鏡花は幽霊を信じていたらしい。なるほどでないとこんな話は書けん

全体的な感想

泉鏡花は名前こそ知っていたがあまり文学を読んだことはなかったため、泉鏡花の代表作として名高い高野聖が収録されたこの本を読もうと思った。思っていた泉鏡花の数倍は質が高かった。また巻末の解説を読んで気づかされることも多かったためその点でも読む価値はあったように思う

終わり

p.s.税率上がる前にもっと本買っときゃよかったorz