『100日後に死ぬワニ』と『三四郎』の共通点
こんにちは。syamu好きです。タイトルの通り、『100日後に死ぬワニ』と『三四郎』に共通点を感じたので投稿します。
100日後に死ぬワニ(第一話)
「100日後に死ぬワニ」 pic.twitter.com/RUblRfVWTs
— きくちゆうき (@yuukikikuchi) 2019年12月12日
この記事を読む前に一応紹介しておきます。Twitterで大変な話題を博した4コマ漫画で、タイトルの通りワニが100日で死にます。また1日で1話投稿されるため現実世界でも100日で死ぬことになります。
夏目漱石が書いた本ですね。主人公の名前は三四郎でそれがそのまま本の題名になっています。三四郎は五高を卒業して東京帝国大学に進学、熊本から東京に出てくるのですが、話はそこから始まります。
どちらも面白いので一読をすすめます。
共通点
- 主人公が年頃の男性
- 恋愛要素がある
- 劇中の時間軸が現実と同じ
- 主人公が年頃の男性
読者と等身大の主人公なので感情移入がしやすいですね。とくにワニに共感したりはありませんでしたがそのような効果は狙えると思います。
- 恋愛要素
恋愛、というより人との付き合い一般は人間の青年期に於ける主要な課題ですから、これが絡んでくるのは主人公が年頃な時点でまあ当たり前といえばそうなんですが、恋愛要素があることでワニの話の幅も広がったんじゃないですかね。『三四郎』はむしろ恋愛を媒介とした人間の自己本位性をテーマにしていると思うんですがそんなことはどうでもいいです。
- 劇中の時間軸が現実と同じ
この記事でもっとも書きたかったことはこれです。三四郎も新聞で連載されていた小説で、ワニは冬から春に書けてなのに対し、『三四郎』はむしろ秋ごろに連載されていたようなのですが、東京を舞台としてその時期折々の東京の観光スポット・享楽スポットに劇中の人物を登場させることで、連載当時の人は話により臨場感をもって楽しんだらしいです。「今、現実世界に三四郎がいるのだ」という一種のライブ感はワニのものと似ていると思います。ワニはそれによって注目をあつめましたからこのギミックはなかなかおもしろいですね
以上が『100日後に死ぬワニ』と『三四郎』の主要な共通点でした。記事に不備があればなんかまた
参考文献
【解説】JMO2020予選参加記と解説(5番~)
こんにちは。ツァム好きです。前回から大分時間が空きましたが数オリ予選の解説を投稿します。ちなみに数オリ予選ですが、受かってました。
㊗️㊗️㊗️数学オリンピック2020本選出場〜〜〜!!!!㊗️㊗️㊗️🎉🎉🎉🎂🎂🎂🍰🍰🍰㊗️㊗️㊗️🍜🍜🍜😡😡😡🍙🍙🍙🌵🌵🌵㊗️㊗️㊗️
— 御室戸斎部のsyamu好き (@661nosyamuzuki) 2020年1月21日
はい。いや~一問完全に運だったんですけど受かってよかったです。神社に行こうね。では解説
解説
5.
ちょっと今回問題文を画像にしてみました(なぜなら下付き文字とかをHTMLでいじるのが嫌だから)はいこの問題ですが試験後の解答用紙を回収するまでの猶予の間につよつよと思しき人たちが大声で議論し合ってるのを聞いてひやひやしていました。60か84かで意見割れてて僕は84派だったんですが結局その議論はうやむやになって次の問題の議論へ移ってましたね
答.84
まず絶対値を最小にすることを考えて(上図では赤文字)、もしもその符号が正ならばそれが答え、負なら何か一つを変えてできるだけ小さい倍率で正にしてそれが答えという所謂貪欲ですね。60派はたぶん-60になったのを気付かずに60にしちゃったかなんかでしょう
6.
この問題は半分運です(未証明で提出したため)がまあ試験中に図を書いてだいたいあってそうなので半分確信をもって提出しました。
答.
最初に問題の中正方形は図の青斜線の正方形と同じ正方形なのではないかという予想をたてます。角度とかおってくとそうなりそうですが証明は面倒だったためしませんでした。まあ大丈夫だろと思いながら解いてくとそれっぽい値になったため正解を確信しました。以下は続きです(とはいえ最初の仮定を信じればあとはやるだけですが)
試験にコンパスと定規は持ち込み可能なのでもし本番で根拠のない直感にぶち当たったときは実際に図を描いてみることをおすすめします。
7.
今年はグリッドの問題がやや多めかなと思いました。この問題は最初、漸化式が立てばいいなと思って状態からの遷移を書いてましたがそれが功を奏しました
答
(「このようにすべての状態からの遷移先は3つになるので初期状態が10通りと、あとで1009回分の遷移とで」と書いてあります(字が汚いため補足))
8
この問題は落としました。ちょっと思考が短絡的すぎました。くやしいね
答
(こういう風にa_k-1<a_kなので2a_k-1<2a_kが保証されているのでa_n=2a_kならば最小のa_n+1はa_n+1=2a_k+1である。
次にa_100を最小にしたい場合、セットの要素数をなるべく多く全体でのセット数はなるべく小さくせねばならない(なぜならaの値はセット数に対して指数オーダーなので))
ここでいうセット数とは連続したaであって次のセットの第n要素が前のセットの第n要素の倍であるようなものを言います。あと指数オーダーとはaの増え方が全体のセット数に対して指数的に増える様子であることを意味します(雰囲気です)
(それを考慮すると初期のa_1~a_5までをちょうど2a_1>a_5とすればよいように思われる。(ちなみにこの問題に於てはセットの要素数の上限は5です)
そうしたとき、上をみたすa_1~a_5で最小は5,6,7,8,9である。なので答えは9x2^19)
この問題なんですけど、自分は指数オーダーに注意しなかったため1,2,3,4,5にして間違えました。解いてる途中、こんな簡単でいいのか???と思いつつ答えを書きましたがやはり間違ってたというね。反省したい
9
答.4
この問題は完全運です。まじで根拠ないけど適当に4って書いたらあってました。もうわからん。神社に祈りに行った斐がありました。
以上で2020年数学オリンピック予選の解説を終えます。こんどはそのお祈りの神社に行ったことでも書こうかな。その神社は実績があって「PCK本戦出場」「JMO本選出場」があります。ではまた
https://twitter.com/661nosyamuzuki/status/1219523649520029698?s=20
https://twitter.com/661nosyamuzuki/status/1219523649520029698?s=20
【解説】JMO2020予選参加記と解説(1番~4番)
お久しぶりです。@661nosyamuzuki です。本記事では第30回(2020年)数学オリンピックの問題を解答解説します。問題と解答は数オリ公式ページで公開されています。以下よりご活用ください
数オリ参加記的な
灘で受けました。
センター試験受けにきました pic.twitter.com/9cPIugzq9r
— 御室戸斎部のsyamu好き (@661nosyamuzuki) 2020年1月13日
こんな適当なツイートでもふぁぼが稼げるなんて灘のコンテンツ力は底が知れませんね。直前にモンスターを買って試験時間前にドーピングしました。キューバなんちゃらって限定品じゃなかったっけ、知らんけど。ちなみに飲料の持ち込みが許可されていたので500mLペットボトルを4本机上に並べて試験を受けました。解いた感触としては去年に比べて(というか去年がむずすぎたせいもあって)かなり易化したかなというかんじでした。ぼっちで来ていたので周りの猛者が試験終了後に答え合わせしあっているのを聞いてひとり一喜一憂していました。このブログを書いている現在はまだ本選出場者リストが公開されていないのでwktkしながらまっています。受かっていてほしいね
解説をする前に
これから予選に挑もうと思っている方に向けてですが見直しはしっかりしましょう。私は2020予選を8完(1つ運なので実質7完)しましたが見直しで4つ拾いました。2019予選は最初の方の誤読で1つ落として本選を逃しました。はなからミスしないに越したことはないですがまあどうせ残り1時間は暇でしょうから最初の方の落としたくない問題を殊更に重点的に見直しをしましょう。
解説
1.千の位と十の位が2であるような4桁の正の整数のうち7の倍数はいくつあるか
A.14個
解説:百の位を決定すれば自動的に一の位が決定されます(一の位から決定しても構いませんが百の位からやった方が幾分か計算は楽です)。このさい、たとえば百の位に5をいれてみて、2520が見つかったからといって2527を忘れないようにしましょう。
2.一辺の長さが1の正六角形ABCDEFがあり線分ABの中点をGとする。正六角形内に点Hをとったところ三角形CGHは正三角形となった。三角形EFHの面積を求めよ(下図参照)
A. √(3)/8
解説:眺めているとCHとDEを延長したくなりますね。
CHとDEをそれぞれ延長させたときの交点をXとおくと二角一致するので△GBC∽△CDXがわかります。さらにGB:CD=1:2より相似比は1:2、よってH、EはそれぞれCXとDXの中点であることがわかります。従って△CDXにおいて中点連結定理よりHE//CD、HE=1/2。またCD//AFよりHE//AFなのであとはもろもろを求めておわり
3. 2×3のマス目の各マスに1以上6以下の整数を重複しないように1つずつ書き込む。辺を共有して隣りあうどの2マスについても書き込まれた整数が互いに素となるように書き込む方法は何通りあるか
A.16通り
解説:たとえば下図のような場合は条件を満たします。
まず初見では偶数どうしが絶対に隣り合わないため、以下のイメージがあります
そこで偶数に焦点をあてて考察をすすめることにして、次に
この図における青色の部分は3つのグリッドと隣接することがわかります。つまり1,3,5のどれとも互いに素である必要があり、それを考えた時に青の部分には6が入りえません。したがって6はかならず角に来ます。また必然的に3は対角にきます。残りは偶奇さえ分ければ特に問題はありません。なので求めるべき場合の数は(6の角の取り方4通り)*(1,5の入れ替え2通り)*(2,4の入れ替え2通り)=16通り
4. 自然数nであって、n^2とn^3の桁数の和が8であり、n^2とn^3の各桁合わせて1以上8以下の整数がちょうど一回ずつ現れるようなものを全て求めよ
A. 24(のみ)
解説:まあn^2が3桁でn^3が5桁なんだろうな~くらいの推測が立ちます。それらの制限を満たすnは22~31までしかありません。ひとつずつ確かめていって24のみであることがわかります。
今回はここまでにします。また次の記事で5番以降解説していく予定です。
次の記事が出来次第この記事の末尾にリンクをはっておきます。解説の不備ほかなにかあれば。ではまた
【解説】JMO2020予選参加記と解説(5番~) - 無類の〇〇好き
続き書けました
【読了】『万葉秀歌・上』・良かった万葉歌紹介
こんにちは。御室戸斉部のsyamu好きです。最近Twitterを禁じているのでリプとか返せません。ごめんね。さて今回は岩波新書の斎藤茂吉著・万葉秀歌を読み了えたので感想を投下します。後半には私的に気に入った和歌を紹介します
本の形式
万葉集の歌の中で特に注目すべき和歌(長歌は含まれない)を斎藤茂吉が紹介・解説する。上巻には万葉集第7巻くらいまでの歌が入ってました。
斎藤茂吉について
流石にご存じの方も多いと思いますが斎藤茂吉は大正くらいの歌人の凄い人です。超プロが解説しているので納得して読めます。あと普通に文章がうまい。
感想
元来古文に少々の苦手を感じてきた自分でしたがちょっと文法事項を勉強しただけでも普通に読める程度の難易度の本だった(というか和歌一首に対する解説がしっかりしてた)のでそこまで行き詰ることはなく楽しめました。最初著者が斎藤茂吉だと知らずに買ってその後読んでて「なかなか読みやすい文章を書くなあ」と思い著者をみたら斎藤でした。そもそもの買った経緯ですが斉藤孝(こちらも斎藤ですね)の『読書力』内に出てきたので興味を持ったのがきっかけです。関係ないですが斉藤孝は斉藤孝でわりに読みやすい文章を書いているので読んでみることをお勧めします。数冊読むと飽きますが。
さて万葉秀歌ですが、読んでいるうちに和歌に対する審美眼的なものがちょっとついたように思えます。流石に和歌からその歌の作者を当てられるレベルではありませんが和歌の楽しみ方は和歌ったように思いますw
秀歌
この項目では私的万葉秀歌を紹介しようと思います。文量的に解説は少なくなりますがお付き合いくださいませ
・たまきわる宇治の大野に馬並めて朝踏ますらむその草深野
(たまきわるうじのおおぬにうまなめてあさふますらむそのくさふかぬ)
はい。万葉の時代には野はヌと読んだんですがまあそれはどっちでもよくてこの歌には荘厳な感じと雄大な感じと素朴な感じが同居してますよね。繰り返し誦ずるうちに詠まれた光景が目に浮かんでくるようで感動します。この歌は万葉調を端的に表したいい歌だとおもいます。一首の意味は「(たまきわる)宇治の原っぱに馬をたくさん並べて狩をなさって深い草原の朝露を踏んでいることでしょう」というくらいのものです。しかしよくもまあこんな単純な内容で歌にしたよなという感じですよね。平安くらいまで時代が下ると僕的には割合としては「感動・思い70%、技巧・修辞30%」くらいの割合で和歌を詠んでるかな~という感覚(あくまで個人的な感想)ですが万葉は「感動100%」なのですごく直感的で心に来ます。技巧というか修辞もほぼ枕詞か序詞、体言止めくらいなもので非常に単純です。ありのままなる現実肯定を感じられてとてもよい。
・熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかないぬ今はこぎ出でな
(にぎたづにふなのりせんとつきまてばしおもかないぬいまはこぎいでな)
一首の意味は「熟田津の海で船に乗ろうとして月を待っていたら明月もあがり潮も満ちてきたのでさあ漕ぎだそう」くらいです。一見普通の歌なんですがこの「月待てば」の句に注目するとただ明かりが欲しいから月を待っていたのではなくて、潮の満ち引きの周期と月の高度に関係がありなんでもこの夜にちょうど月は満月になり潮は満潮になるらしいです。午後9時くらいでしょうか。光景を想像すればなんとも美しいですね。ため息が出ます。まこと、日本にはこんな美しい光景があったのかと感動したのでこのうたを選びました。というか一首にたいして毎度これくらいの文量をつけていたら終わらないのでもうちょいペースアップします。乃至ここに洩れた和歌は別でブログにまとめるかもしれません
・香具山と耳梨山と会ひしとき立ちて見に来し印南国原
(かぐやまとみみなしやまとあいしときたちてみにこしいなみくにはら)
これは播磨あたりの伝説の中に「香具山と耳成山が女性関係かなんかで争ったときに出雲の阿保大神がそれを止めようとして大和まで向かっい播磨まで来たときに両山が争うのをやめた」というのがあってそれを踏襲して、実際の場所に来て山を見て感動して読んだとされています。印南国原は地名で神様の名前ではないです。「会いし」というのは「相まみえ、対峙し」くらいの意味。この歌はスケールが良いですよね。山が争うという超巨大スケールに圧倒されます。内容もごく単純で、固有名詞が3つも使われていてその簡素さが山のスケールを際立たせて感動を誘います。
・渡津海の豊旗雲に入日さし今宵の月夜清明けくこそ
(わだつみのとよはたぐもにいりびさしこよいのつくよあきらけくこそ)
一首「海上にある豊旗雲から日光がさしている、この様子では今夜は明月だろう」くらい。この歌はまず読みが定まっておらず、というのも万葉集は万葉仮名で書かれたため読み方がわからん(定まらない)部分が存在します。それで読み方というのは個人によって意見が分かれる部分があるわけですがこんかいの歌では「あきらけくこそ」の部分がそれに該当します。他の読み方としては「すみあかくこそ」「さやにてりこそ」「きよらけくこそ」等等たくさんの説があるとのこと。こんかいの「あきらけくこそ」は賀茂真淵の訓だそうです。この歌からも雄大な自然と単純な推測の美しさが見られますね。また「豊旗雲」というのもどんな雲なのかあまりわかっていないらしいです。どんな雲なのかしらんけどかなり語感がよいので後世の歌人も豊旗雲を詠んでいたり。
・あかねさす紫野ゆき標野ゆき野守はみずや君が袖振る
(あかねさすむらさきぬゆきしめぬゆきぬもりはみずやきみがそでふる)
特に理由は無いけどお気に入りです
・春すぎて夏来るらし白妙の衣干したり天の香具山
(はるすぎてなつきたるらししろたえのころもほしたりあめのかぐやま)
この歌は別の訓が小倉百人一首に載ってますよね(「春すぎて夏来にけらし白妙のころも干すちょう天の香具山」)僕はあんまり百人一首を知らんのですがどちらにも良さがあると思ったのでこの歌ものせときます。こっちの訓は「らし」「たり」として語調を整えているところに良さがあると思います。
・ひむがしの野にかぎろひの立つ見えてかえり見すれば月かたぶきぬ
この歌は得も言われぬ感動がありますね。「ぬにかぎろいのたつみえて」の部分もだいぶ読み方で古来意見の分かれるものだったそうです。この歌を詠んだのは柿本人麻呂で、万葉第一の歌人と呼ばれています。僕はこの歌は人麻呂の詠んだなかでもトップクラスの歌だと思います。歌の単純な内容と詠むときの人麻呂の視線の追体験の感がどうも全く万葉調で、後代の我々には越えることができないように思えます。
・いづくにか舟泊すらむ安礼の埼こぎ回みゆきし棚無し小舟
(いづくにかふなはてすらむあれのさきこぎたみゆきしたななしをぶね)
三句目で小休止、結句で体言止めにしてバランスよくまとめ上げているのがすき
・いざ子どもはやく日本へ大伴の御津の浜松待ち恋つらむ
(いざこどもはやくやまとへおおとものみつのはままつまちこいつらん)
作者のはやる気持ちが感じられてすき
・人言をしげみ言痛みおのが世にいまだ渡らぬ朝川わたる
(ひとごとをしげみこちたみおのがよにいまだわたらぬあさがわわたる)
この歌を詠んだ人の人間関係を解説するのがめんどいのでしませんが「しげみこちたみ」のリズム感と恋人のために朝川をわたる感じがすき
・小竹の葉はみ山もさやに乱れども我は妹おもう別れ来ぬれば
(ささのははみやまもさやにみだれどもわれはいもおもうわかれきぬれば)
「さ」と「み」でリズムをとっているのはさすがの人麻呂であると思う。すき
はい。ここまで書いてて思いましたが好きな歌がかなりあるので全部書いたら記事の文量が膨大になっちゃうためここらへんでいったんこの記事は終わりにしておきます。多分またまとめる機会があると思うのでその時にちょっとずつ書いていこうかな。ともかくこの記事を読んで少しでも万葉集の歌に興味を持ってもらえたらと思います。この記事では僕のつたない解説でしたが万葉秀歌にはマジの近現代最高と名高い斎藤茂吉が解説をがっつりのっけてるのできになったら読んでみてください。
ではまた
不等式と貪欲法について
こんにちは御室戸斉部のsyamu好きです。今回は本の感想でも何かの参加記でもなく、まあ強いて言えば本の感想ですがある本(この記事の末にでも貼っておきます)の中に出てきた話で競プロとの親和性も高そうな話があったので紹介兼自分が後で見返すよう見たいな感じでいきます。
なお当記事の目的は貪欲法と呼ばれるアルゴリズムを使って初等的な不等式を見てみようというものです。
貪欲法とは
本題に入る前に貪欲法についてすこし説明します。なので知ってる人は飛ばしていただいて。貪欲法はもとGready Algorithmと英語で言ってどのようなアルゴかと申しますと例えば問題として以下のようなものを解決する際に出てくる考え方です。
【問題】
10000円札が 3 枚、5000円札が 5 枚、2000円札が 5 枚、1000円札が 4 枚あります。この中から合計で 4 枚貰えるとします。一番多くもらえていくらでしょうか。
というような問題があるとすればほとんどの人は迷わずに10000円札 3 枚と5000円札 1枚貰えば最多のお金、35000円を獲得できると答えられますよね。これは全通り試せばわかりますがそうでなくても大きい金額のお札をより多くもらう方がより多くの金額を得られるというのは感覚的にありますね。では次の問題はどうでしょうか。
【問題】
数列A={1,3,2,4}、数列B={5,1,7,3}があります。数列A,Bはそれぞれの数列内での要素の入れ替えは可能です(1≦i,j≦4の任意のi,j(整数)についてswap(ai,aj)が認められています)。いまnについて 1から 4まででanとbnの積の和の最大値・最小値は何ですか
要するに↑これの最大・最小値はなんぼですか?
これは数列AをA={1,2,3,4}、BをB={1,3,5,7}としてともに昇順に並び替えたものを前から積を取っていったものが最大となります。つまり最大は1*1+2*3+3*5+4*7=50ですね。これも全通り試せば最大値が50だとわかります。ではなぜ昇順でソートされたものが最大になるかですが、これを前問と合わせて考えますと「大きいものをできるだけ多くとる」ことが見えてきますね。感覚的にも大きいものを多くとっていくと結果も大きくなりそうだというのが分かります。このような思考を貪欲法と言います。ちなみにこの問題の最小値ですがそれはAをA={1,2,3,4}、B={7,5,3,1}としてそれぞれを昇順と降順に並べ替えたものを前から積を取っていくことで得られます。最小は1*7+2*5+3*3+4*1=30ですね。これは言わずもがなAを降順、Bを昇順にソートした結果でも同じです。この場合も貪欲法で説明がつき、「大きいものをできるだけ少なくとる」と結果も少なくなるだろうというわけです。これも貪欲法の一つの形態です。これらは一般にn個の要素数を持つ数列A,Bに対しても以下の式が成り立ちます。証明をする気はないです。
(ただしpi,qiはA,Bをそれぞれ昇順にソートした際の添え字)
以上が貪欲法のおおざっぱな紹介です。この思考法は競技プログラミングでもよく出てくるので覚えておくと吉。
初等的な不等式をGreadyに説明する
さて次は不等式ですがそれぞれ出てくる文字は正の実数としておきます。以下のような不等式は有名不等式なので知ってる人も多いと思われます。右端が不揃いなのは目を瞑っていただきたい。
......1
......2
......3
......4
......5
として番号を振ってそれぞれ言及します。1などは典型的な相加平均相乗平均の関係式、またそれ以外の不等式もどっかしらで見たことがあるような不等式ですね。全て成り立ちます。当ブログでは例によって初等的な証明はのっけません。証明を知りたい場合はググるなどしてください。さて。
1の相加相乗の不等式ですが要素が√aと√bの二つで構成された数列を2つ考えます。具体的にはA={√a,√b},B={√a,√b} としてみると分かりやすいですか。この時、A,Bの要素の積の和(うえの問題で考えたようなこと)を考えます。ここでa≦bとしておきますと最大の値は貪欲法的に
このようにしてa+bだとわかりますね。最大値がこれなのでほかのどのような積の取り方であってもa+bをこえることができないわけです。まあ今回の場合は要素数が2つなのでこれ以外の取り方は√(ab)+√(ab)=2√(ab)以外なく、当然それらは貪欲法的に考えてa+bより小さくあるべきなので不等式は成り立ちます。
2も同様に見ればa≦b≦cとして一般性を失わず、Greadyに考えてa^2+b^2+c^2が最大であるとわかります。あ~等号の成立条件などは面倒なので述べません。
3は少しわかりにくいですがやはりa≦b≦cとしてみると
となるので今度は最小値の貪欲法を用いれば
最小値として3abcがなりたり、どのような組み合わせであれこれ以上にはなるわけですね。
4は3の別バージョンで最大値を取ります。解説は繰り返しますがa≦b≦cとしてみると
がなりたつので
最大値が以上のようになりどの組み合わせをとってもこれより大きくなることはないです。3,4はいずれもそのまんまをすればできる話でしたね。
5ですが、これは少々前処理がいります。a≦b≦cとしても一般性を失わず
この不等式がなりたち、因ってその逆数は
こんなかんじで不等号の向きが逆になった関係式をなします。これとa≦b≦cとを考えることで最大値の貪欲法で
こんなかんじで最大値をMとおくと、Mはどの様な組み合わせの式に対してもそれ以上の値であるので以下の二式がなりたち
これらを両辺足すことで
よって
このようにして不等式が導けましたね。言うまでもないですがこれはしっかりとコーナーケースまで詰めた証明ではありません。でかでかと書いておきましたがあくまでも説明なのでまあはい。
おわりに
今記事はじめてパソコンで書いているんですがめっちゃ書きやすくて感動しています。今回画像が記事内で使われていたり文字の大きさが変わっているのもそのためです。良い感じなのでこれからもパソコンで書いていきたいが。さてブログの内容としてはどうだったでしょうか。競プロerによっている僕としては数学野で貪欲法が使えると思っていなかったためこれを知った時結構新鮮でした。コンテストで出題されたらだいたいさっさと通してしまいそうな問題でしたが(300くらいかな)実際の不等式を証明説明するにはかなり強力だなと思いました。実際貪欲法は競プロ野でもかなり強力なアルゴであることは否めんけど空気みたいなレベルで使ってるから案外そのすごさ分からんよね。そういえば蟻本でも最初の方に書いてあるし。蟻本でにぶたんよりもDPのが先に載ってんのちょっと解せんけどまあいいや。
それではまた。PCK参加記も近いうちに書く気がします。あとこの記事どっか間違ってそうなところがあったら教えてください
追記:この記事を書くにあたって『解法へのアプローチ』栗田哲也・東京出版の第6章「欲張り者の不等式」を参考にしました。Amazonのリンク→
【読了】『三四郎』
こんにちは。御室戸斎部のsyamu好きです。少し前にカミュの『シーシュポスの神話』を読み了えて、それからそれについてブログを書こうと思ってから一向ブログの存在を忘れていました。そもそもシーシュポスの神話(正確には不条理の論証)が解し難くてブログにまとめるのも骨が折れそうだったので読んだ時系列はゴチャるんですが三四郎を読んだことを先に書きます
三四郎・構成
13章からなり各章およそ30p。最後の章だけ2p
三四郎・あらすじ
九州の高等学校(五高か)から東京帝国大学に進学する小川三四郎が上京する道程の東海道線の汽車の場面から物語は始まる。目まぐるしく動く東京の時勢に圧倒されつつもそれを飲み込んで成長してゆく三四郎の生活を漱石の巧みな文学技法と淡々とした三人称視点でまるっと表現している。
三四郎・感想
恋と学問と郷里の三世界に悩む三四郎が特によく描かれているように思える。また読んでいて受ける絵画的の感は文章の顛末とも絡んできて尚面白い。この作品を読んで深く考えたのはやはり女性関係である。三四郎が自分のことのように思えることが多々あった。思うに童貞が女に関して悩むようなことを凡そ三四郎は一度踏襲している。そのため読んでいて電車内にも関わらず発狂しそうになったことが幾度かある。よくないね。まあしかし文章全体としてみれば読んだ後では女性関係以外での色々な問題も繰り込まれていてなかなかやるなと思うなど。面白かったし文章自体は平易であるので是非とも読むと良いように思う。
その他雑記
今じつはパソコン甲子園の会場たる会津若松(福島)にいく途中の電車内なんだけどパソコン甲子園終わったらその参加雑記も書こうと思います。あぁ、と後シーシュポスの神話ですね。ではまた
【読了】日本の思想(丸山眞男)
こんにちは。御室戸斎部のsyamu好きです。この度は岩波新書の『日本の思想』を読了したため感想を投下します。
構成
次の4章からなる。
I:日本の思想
II:近代日本の思想と文学
III:思想のあり方について
IV:「である」ことと「する」こと
文章形式
I,IIは論文形式、III,IVは講演体で書かれている。その書き方や内容もあり、I,IIよりもIII,IVの方が読みやすい。
内容大略
I:日本の思想
開国以前からの日本に固有な思想的抱擁性を考察し時代折々の目立った思想を解説している
II:近代日本の思想と文学
思想と文学の関係をテーマに政治と芸術と思想の時代々々の力関係を解説している
III:思想のあり方について
今でもしばしば問題として挙げられる専門性の高いコミュニティの閉鎖的な環境とその理想的なあり方についてを論じ、「タコツボ型」と「ササラ型」との分類で日本の組織一般に見られる傾向を指摘している。
IV:「である」ことと「する」こと
言わずもがな有名な評論である。封建的/状態重視の「である」ことと進歩的/過程重視の「する」ことについてそれぞれの社会的意味を説き、「である」ことと「する」ことが混在している今日においての価値とは何かを述べる。
感想
全編を通して、特にI,II章では顕著だったが、論じている題材そのものが難しい内容であるにもかかわらずそれを解説する著者の言葉も難しいため、大変読むのに時間がかかった。またここで注意したいのは著者の丸山眞男は政治的にかなり進歩的な立場だったことである。要するに左翼みが強い。故に本文中にも少々偏っていると思える意見が出てくるため、全てを鵜呑みにせずしっかり内容を吟味し時には批判的に読み進めることを要される。この際も前述した通り解説している内容が難しいため鵜呑みにすることすらも一定以上の読解力がないと厳しいかもしれない僕自身内容を全て完璧に把握し尽くしているわけではないのでパラパラ読み直しながらノートにまとめている途中。それもある程度かたがついたらブログに投下しようかな。
所感としてはまあ面白かった。かみごたえのある文章はいいですね。もともと僕が思想に興味があるのも理由のうちだろうけどよくまとまっているように思います。読むにあたっては西洋思想(特に合理論→ヘーゲルの弁証法→マルクス主義の流れというかその西洋の思想的な流れの感じ)を知っておかないとキツいと思われる。著者の政治的イデオロギーに反対賛成はあれども一読する勝ちはあるかなと思います。
おわり
多分土曜あたりには『日本の思想』のI章のまとめの記事が書けると思います